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独自の技術

がん細胞に含まれる遺伝子変異は個人によって異なるため、今までに膨大な数の遺伝子変異が報告されています。一方、近年の研究からそれらの変異はランダムに発生するのではなく一定の遺伝子変異が繰り返し検出されていることもわかってきました。QDでは高頻度に検出が予想される遺伝子変異を対象に、血液中のがん由来DNA(circulating tumor DNA, ctDNA)を追跡するために、「OTSアッセイ」および「OTS-Probes」を設計・開発しました。OTS (Off-The-Shelf)とは「棚からすぐに」持ってきて使用できるという意味であり、Probes(プローブ)は変異を超高感度に検出するデジタルPCR(dPCR)用の試薬です。QDの「Shelf」にはすべて独自に開発した多種類のプローブが準備されているので、検査に必要なプローブをすぐに取り出して使用することができます。OTSアッセイは、がん細胞由来のゲノム情報を個人に合わせたプローブにより追跡して治療後病変を評価し、今までにない精度でがん治療をナビゲートする新しい概念のゲノム検査です。

OTS-Probes

公共データベース、文献、および岩手医大で行った研究データから統計学的手法を用い、ヒトがんで高頻度に検出される遺伝子変異を絞り込んだ遺伝子変異に対するdPCRプローブライブラリー、即ちプローブの集合体がOTS-Probesです。このライブラリーは体内腫瘍量の追跡を目的としているので、必ずしも薬剤提案とは関連がない遺伝子も含まれています。たとえばTP53遺伝子は変異があっても薬剤提案とは結び付きませんが、ヒトがんでもっとも頻繁に変異が見つかる遺伝子です。そのため、TP53遺伝子変異に対するdPCRプローブがあればすぐにctDNA検査を行うことができます。OTS-Probesはこれからも定期的にアップデートしていきます。

OTS-アッセイ

OTS-アッセイは遺伝子変異の同定・選定・測定の3つのモジュールから構成されています。ユーザー様の目的およびすでにお持ちのデータにより、必要なモジュールを単独でまたは組み合わせてご利用いただけます。

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  1.  OTS☆Scan:組織または治療前血液からDNAを抽出し、遺伝子パネル検査によりがん細胞の遺伝子変異を同定するモジュールです。どのような遺伝子パネル検査でも対応可能ですが、QD社では、岩手医大ですでに100例以上の実績があるOTS☆Scanを推奨しています。

  2. OTS☆Select:OTS☆Scanの結果をもとに、QD社独自のアルゴリズムで追跡可能な遺伝子に優先順位をつけて最大4個まで選定するモジュールです(参考文献2-4)。OTS☆Scan以外の遺伝子パネル検査の結果でも、変異アリル頻度(VAF)が判明していれば選定は可能です。

  3. OTS☆Monitor:OTS☆Selectで選定された遺伝子変異を対象に、dPCRを用いてctDNA変動を追跡するモジュールです。治療後のctDNA量の変動について、1%以下のVAFからでも正確に推定することができます。通常用いる追跡対象の変異は1-2種類ですが、臨床情報を正確に反映することを確認しています(参考文献2-3)。

検査をお考えの方へ

現在QDでご提供可能な検査は研究用のみとなっております。研究用検体を保存中の方、または採取可能な方は下記のフォローチャートより適切なモジュールをご検討の上、QDまでお知らせください。

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参考文献

1. Reply. 
Iwaya T, and Nishizuka SS. Gastroenterology. 2021 Jul;161(1):367-368.
 

2. Frequent post-operative monitoring of colorectal cancer using individualised ctDNA validated by multiregional molecular profiling.
Yaegashi M, Iwaya T, Sasaki N, Fujita M, Ju Z, Siwak D, Hachiya T, Sato K, Endo F, Kimura T, Otsuka K, Sugimoto R, Sugai T, Liotta L, Lu Y, Mills GB, Nakagawa H, Nishizuka SS. Br J Cancer. 2021 Apr;124(9):1556-1565.


3. Frequent Tumor Burden Monitoring of Esophageal Squamous Cell Carcinoma With Circulating Tumor DNA Using Individually Designed Digital Polymerase Chain Reaction.
Iwaya T, Endo F, Takahashi F, Tokino T, Sasaki Y, Nishizuka SS. Gastroenterology. 2021 Jan;160(1):463-465.e4.
 

4. Analysis of mutational and proteomic heterogeneity of gastric cancer suggests an effective pipeline to monitor post-treatment tumor burden using circulating tumor DNA.
Sasaki N, Iwaya T, Chiba T, Fujita M, Ju Z, Endo F, Yaegashi M, Hachiya T, Sugimoto R, Sugai T, Siwak DR, Liotta LA, Lu Y, Mills GB, Nakagawa H, Nishizuka SS. PLoS One. 2020 Oct 7;15(10):e0239966.
 

5. A Pipeline for ctDNA Detection Following Primary Tumor Profiling Using a Cancer-Related Gene Sequencing Panel. Nishizuka SS, Sato KA, Hachiya T. Methods Mol Biol. 2019;1908:229-241.
 

6. Individualized Mutation Detection in Circulating Tumor DNA for Monitoring Colorectal Tumor Burden Using a Cancer-Associated Gene Sequencing Panel.

Sato KA, Hachiya T, Iwaya T, Kume K, Matsuo T, Kawasaki K, Abiko Y, Akasaka R, Matsumoto T, Otsuka K, Nishizuka SS. PLoS One. 2016 Jan 4;11(1):e0146275.

用語解説

血中腫瘍由来DNA(circulating tumor DNA, ctDNA):腫瘍細胞から血中へ放出される断片化されたDNA。腫瘍細胞DNAに含まれる体細胞変異を血中で測定できれば、体内にある腫瘍量を反映すると考えられている。がん治療後に測定を継続することで、早期再発予測、治療効果判定、無再発確証などの診断に役立つ。

次世代シークエンサー(Next Generation Sequencer, NGS): 従来のキャピラリーシークエンサー等と比較して大量の塩基配列を決定することができる装置。同じ配列を繰り返し読むことで検体中の正常を含む全配列に対する変異配列の割合をアリル頻度として定量的に出力できる。

変異アリル頻度(variant allele frequency, VAF): 細胞集団のシークエンスにおいて、多型または変異配列が全体の配列に占める割合。肉眼的にがんと診断された検体でも正常細胞が多く含まれる場合は、がん特有の遺伝子変異のアリル頻度は低くなる。アリルとは変異や多型を示す可能性がある遺伝子座(またはゲノムDNAの位置)のことをいう。

デジタルPCR(dPCR):デジタルPCRでは増幅したDNA分子を特定の遺伝子変異を検出するプローブとともに(ウェルやドロップレットなどで)ひとつひとつの反応単位に分け、対象とする変異を持つDNA分子の有無をカウントする(デジタル化)。目的としないDNA分子が大量にあった場合でも、目的とする分子が少なくとも一つある場合はカウントできるので、一般的なPCRのようにDNA分子をまとめて検出する方法と比較してはるかに高い感度を得ることができる。

OTS-Probes:デジタルPCRに用いる特定の遺伝子変異に対するプローブの集合体。集合体はdPCRプローブライブラリーともいう。がん細胞で見つかる遺伝子変異は個人で異なるが、一つのプローブは一つの遺伝子変異しか検出できない。そのため、あらかじめ高頻度に検出される遺伝子変異に対するプローブを準備しておくことで迅速な検査が可能となる。OTS-Probesは体内腫瘍量を追跡する検査に特化した世界初のdPCRプローブライブラリーである。

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OTSアッセイ:はじめにNGSを用いて、生検や手術によって取り出したがん細胞の中にある遺伝子変異を検出する。次に、その遺伝子変異を含むctDNAを血中で検出するためにOTS-Probesの中から、遺伝子変異に合ったプローブを選定する。現在のゲノム技術でctDNAのような低濃度DNAを正確に検出するには、プローブを用いた遺伝子変異検出に特化したdPCRが優れています。低濃度でもctDNAは体内腫瘍量を鋭敏に反映するため、その変動を検出することは診断に重要である。

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体内腫瘍量変動の追跡:がん治療の多くは体内のがんの量(体内腫瘍量)を減らすことを目的としている。治療に応じて体内腫瘍量は変動するため、その追跡を行うことが必要である。現在はCT等の画像解析や血液中の腫瘍マーカーが用いられているが、より簡便で高感度な指標が求められている。OTSアッセイを用いれば採血のみで高感度な体内腫瘍量の追跡が可能となる(参考文献1-5)。